「円安だから海外売上比率の高い銘柄を探している」
あるいは
「英語力を生かして、グローバルに働きたい」
「海外で働ける会社を探している」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。はくです。
2019年に大学院を卒業し、現在は半導体製造装置メーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、円安でも好調な海外売上比率の高い半導体関連企業10社をランキング形式で紹介します。
円安のメリット・デメリットや、各企業の強み・特徴なども解説するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むとわかること
- 円安とは何かがわかる
- 海外売上比率の高い半導体関連企業がわかる
- 海外で働く方法や注意点がわかる
円安とは
そもそも「円安」とは、日本の通貨である「円」が海外の通貨より相対的に安くなっている状態のことです。
ここで重要なのが、円安・円高の判断はあくまでも「相対的な」価値であること。
具体的に「1ドルいくらなら円安」という話ではなくて、1ドル100円だった時期に対して、円の価値が1ドル120円になれば円安、80円になれば円高と判断します。
この記事を書いている2023年7月現在は1ドル140円超ですから、僕が就職した2019年4月の1ドル111円に対して「円安である」と言えます。
円安のメリット・デメリット
円が安いと、日本の企業は海外で安く商品を販売できるので、売上が伸びます。
一方で、海外から仕入れる商品は高くなるので、原材料を輸入に頼っている場合はコストがかさんでしまいます。
「円安は輸出に有利」「円高は輸入に有利」と言われるのは、これが理由です。
2023年現在は円安が続いているので、輸出産業が有利な経済状況です。
とくに、国内生産比率が高く、海外売上比率が高い企業は、低コストで売上を伸ばすことができるため、円安の恩恵を最も受けている銘柄と言えます。
海外売上比率が高い半導体関連銘柄10社
インテルやサムスン、TSMCなどの有力な半導体メーカーは海外に多いため、日本の半導体業界はグローバルに事業を展開している企業が多いです。
今回は、その中でも特に海外売上比率の高い会社10社を紹介します。
第1位:アドバンテスト
アドバンテストは、2022年売上高で国内2位の半導体製造装置メーカーです。
半導体検査装置に強く、半導体チップやウェーハの電気特性を測る半導体テスタで世界シェア1位を獲得しています。
アドバンテストの2022年の海外売上比率は驚異の96.3%です。
地域別で見ると、台湾・中国・韓国などのアジア地域が85.5%、アメリカ7.7%、ヨーロッパ3.1%となっています。
半導体テスタは、半導体デバイスの微細化・高集積化によってますます需要が拡大するので、長期的にはさらなる成長が見込まれる企業です。
第2位:ブイ・テクノロジー
ブイ・テクノロジーは、FPD製造装置・検査装置・測定装置を開発する会社です。
FPDとは、スマートフォンや薄型テレビに使用されるフラットパネルディスプレイのこと。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、スマホ、パソコン、電子ペーパーなど様々な用途があります。
また、ブイ・テクノロジーでは、FPD関連事業にくわえて、新規事業として半導体製造装置事業の拡大も進めています。
海外売上比率は95.2%で、そのうち中国が88.5%と大部分を占めているのが特徴です。
第3位:TDK
TDKは、磁性材料の「フェライト」を世界で初めて製品化した総合電子部品メーカーです。
フェライトは、簡単に言うと磁石にくっつくセラミックスで、金属と比べて電力ロスが少ないのが特徴。
主力製品であるフェライトコアはスマホや自動車などに搭載されて、電子機器の小型化・高機能化・省エネ化に貢献しています。
TDKの最大の特徴はグローバルな事業展開です。
2022年の業績では、海外売上比率92.2%・海外生産比率89%・海外従業員比率90.8%と海外に強いことがわかります。
第4位:村田製作所
村田製作所は、国内5位の売上高を誇る電子部品メーカーです。
主力製品は、スマホや家電、車載機器に搭載されるチップ積層セラミックコンデンサ(MLCC)で、世界シェア1位を獲得。
とくに、今後成長が見込まれる自動車市場で50%と高いシェアを誇っています。
村田製作所は海外売上比率90%超にくわえて、国内生産比率65%と非常に高いのが特徴です。
国内でコストを抑えて生産し、海外で安く販売できるため、円安に強い銘柄と言えるでしょう。
第5位:新光電気工業
新光電気工業は、長野県長野市に本社を置く電子部品メーカーです。
ICチップを外部と電気的に接続したり、熱や衝撃から保護する半導体パッケージ基板で世界シェア2位を獲得しています。
新光電気工業の海外売上比率は約90%です。
主要顧客はインテルで、コロナ禍は半導体需要の拡大とともに大きく売上を伸ばしました。
第6位:ローツェ
ローツェは、広島県福山市に本社を置く半導体製造装置・部品メーカーです。
半導体のウエハー搬送システムに強く、FOUP(ウエハーが入った容器)を装置にセットするロードポートや、ウエハーを掴んで搬送する搬送ロボット、ウエハーの移載(入れ替え)を行うウエハーソーターなどを開発しています。
ローツェの海外売上比率は89.2%です。
国別の売上を見ると、アメリカ、中国、台湾、次いで日本となっており、直近でも海外売上を伸ばしています。
第7位:東京エレクトロン
東京エレクトロンは、国内1位の売上高を誇る半導体製造装置メーカーです。
世界でも4位にランクインする大企業で、洗浄、成膜、エッチング、塗布・現像装置など幅広い製品を開発しています。
東京エレクトロンの海外売上比率は88%です。
国別で見ると、中国23%、台湾19%、韓国16%、アメリカ16%、日本11%、ヨーロッパ9%となっており、近年はアジアでの売上が増加しています。
第8位:ニューフレアテクノロジー
ニューフレアテクノロジーは、東芝機械が前身の半導体製造装置メーカーです。
主力製品は、マスク描画装置・マスク検査装置・エピタキシャル成長装置の3つで、電子ビームマスク描画装置では世界シェア90%を誇ります。
ニューフレアテクノロジーの海外売上比率は87.0%です。
横浜本社以外にアメリカ、韓国、台湾、ドイツ、中国に拠点があり、グローバルニットップチ企業100社にも選ばれています。
第9位:フェローテックホールディングス
フェローテックホールディングスは、半導体製造装置向けの部材を開発する部品メーカーです。
世界シェア7割を誇る真空シール、ウエハーの固定や洗浄槽として使われる石英製品、エッチング装置で使われるセラミックス製品などを開発しています。
フェローテックホールディングスの海外売上比率は86.8%です。
国別では中国が4割超と最も高く、ついでアメリカが約3割となっています。
第10位:KOKUSAI ELECTRIC
KOKUSAI ELECTRICは、日立国際電気が前身の半導体製造装置メーカーです。
ウエハーに薄膜を形成する「成膜」に特化しており、「縦型」と呼ばれるバッチ式成膜装置で世界シェア1位を獲得しています。
KOKUSAI ELECTRICの海外売上比率は86.6%です。
国別で見ると、中国・韓国・台湾を含むアジア地域で8割以上を占めています。
半導体業界で海外出張・駐在の多い職種
さいごに、海外出張や駐在がしたい方向けに、海外チャンスが多い職種について紹介します。
今回紹介した海外売上比率が高い会社は、仕事で英語を使ったり、海外出張や駐在に行ける機会が多い企業です。
ただし、これは職種によって異なり、たとえば僕のような機械設計職だと、海外駐在の確率はかなりマレ。
あったとしても、短期間の出張の場合が多いです。
海外出張や駐在の機会が多い職種は、ずばり営業職・プロセスエンジニア・フィールドサポートです。
これら3つの職種の共通点は、お客さんに近い仕事であること。
営業は、その名のとおり製品をお客様に販売する仕事です。
海外売上比率が高いと、お客さんのほとんどが海外企業になるので、必然的に海外出張や駐在が多くなります。
文系職のイメージですが、半導体や装置の専門知識が求められるので、理系出身の人も多いです。
また、プロセスエンジニアは半導体製造装置メーカーに特有の職種で、装置のプロセス(性能・仕様)を開発する仕事です。
実際にお客さんに仕様を提案したり、現地でサポートをするので、駐在のチャンスが多くあります。
フィールドサポートも、上記2つと同じく、客先で装置の改造やトラブルシューティングをするため、出張や駐在の多い職種です。
むしろ、出張や駐在がメインになるので、手当がついて一番給料が稼げるという場合もあります。
まとめ:海外売上比率の高い企業を探そう!
以上、半導体業界の海外売上比率が高い企業Top10社をランキング形式で紹介しました。
今回紹介した企業以外にも、半導体業界にはグローバルに事業を展開している会社がたくさんあります。
本サイトの絞り込み検索ページでは、海外売上比率や売上高、年収、勤務地、残業時間など、好みの条件で企業を検索できるので、ぜひ活用してみてください!