「車載半導体メーカーのシェアやランキングが知りたい」
「車載半導体の関連銘柄は何がある?」
「今後の動向や将来性も気になる…!」
このような疑問を解決します。
こんにちは。はくです。
2019年に大学院を卒業し、現在は半導体製造装置メーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、車載半導体メーカーのランキングと注目の関連銘柄を紹介します。
各社の動向や今後の市場予測についても解説するので、車載半導体について調べている方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むとわかること
- 車載半導体メーカーの市場シェアがわかる
- 車載半導体の関連銘柄がわかる
車載半導体の種類
はじめに、車載半導体とは、その名のとおり自動車に搭載される半導体のことです。
大きく分けるとECU・センサー・パワー半導体の3つの種類があります。
- ECU(電子制御ユニット)・・・車の走る・曲がる・止まる動きを制御する半導体。エンジン制御やADAS(先進運転支援システム)などに使われる。
- センサー・・・エンジンを制御するフローセンサー、エアバッグを作動させる圧力センサー、車の位置を監視するGPSセンサー、カメラ、レーダーなど。
- パワー半導体・・・電力の供給・制御を行う半導体。車載バッテリーや直流⇔交流を切り替えるインバーター(コンバーター)など。
自動車に搭載される半導体の数は1995年で20〜30個程度でしたが、現在では車載マイコンだけで50個以上、多い車種では80個と言われています。
EVや自動運転が普及すれば、今後さらに車載半導体の数は増えるでしょう。
ECUに搭載されるマイクロコンピュータのこと。
プログラムの命令を実行するCPU、データを記憶するメモリ、その他の周辺機能で構成される。
車載半導体の市場予測
直近では、コロナ禍の半導体不足で、自動車にも半導体が使われていることを知った人は多いですよね。
Modor Intelligenceのレポートによると、2023年の車載半導体の市場規模は約700億ドル(1ドル143円換算で約10兆円)です。
これが、2028年には2倍の1400億ドル(約20兆円)になるとされており、年平均成長率(CAGR)は約14%。
車載半導体の市場は、今後急速に拡大することがわかります。
この背景にあるのは、さきほど言ったEVやADAS・自動運転の普及です。
たとえば、EVはバッテリーに蓄えられた電気を、インバータで直流から交流に変換してモーターに伝えます。
また、自動運転を実現するためには、赤外線カメラやミリ波レーダーといったセンサーが不可欠です。
現在、自動車業界では、環境問題や政治的な背景から世界的にEVの開発が加速しています。
「100年に1度の変革期」と言われており、車載半導体の需要が拡大することから、半導体業界にとっても変革期(成長期)であると言えるでしょう。
車載半導体メーカーの世界ランキング
NewsPicksの記事によると、2021年の車載半導体メーカー売上高ランキングTop5は以下のとおり。
日本企業は2社がランクインしており、日本が奮闘している分野であることがわかります。
順位 | 社名 |
---|---|
1 | インフィニオン・テクノロジーズ |
2 | NXPセミコンダクターズ |
3 | ルネサスエレクトロニクス |
4 | STマイクロエレクトロニクス |
5 | デンソー |
インフィニオン・テクノロジーズ
インフィニオン・テクノロジーズは、ドイツの半導体メーカーです。
パワー半導体で世界シェア1位で、車載向けでも売上高はトップ。
最近では、Siに加えてSiC半導体にも注力しており、車載向けで売上を伸ばしています。
NXPセミコンダクター
NXPセミコンダクターは、オランダの半導体メーカーです。
電機メーカーのフィリップスの半導体部門が分社化して設立されました。
車載向けに強く、過去にはインフィニオンを抜いて車載半導体シェア首位だったこともあります。
STマイクロエレクトロニクス
STマイクロエレクトロニクスは、スイスに本社を置く欧州の半導体メーカーです。
SiCパワーデバイスで市場シェア40%と圧倒的な地位を築いています。
車載向けでは、テスラのModel3に搭載される駆動用モーターのインバーターにSTマイクロのSiCパワーデバイスが採用され、大きく売上を伸ばしました。
車載半導体の国内関連銘柄6社
ここからは、車載半導体の関連銘柄を6社紹介します。
半導体株へ投資したい方は、ぜひチェックしてみてください。
ルネサスエレクトロニクス
ルネサスエレクトロニクスは、三菱・日立・NECの半導体部門が統合した企業です。
2022年の半導体メーカー売上高ランキングでは、キオクシアやソニーを抑えて国内1位(世界16位)。
車載半導体に強く、クルマの動きを制御する車載マイコンで世界シェア1位を誇ります。
デンソー
デンソーは自動車部品メーカーとして有名ですが、車載向けの半導体を手掛ける半導体メーカーでもあります。
2030年までに半導体分野へ5000億円を投資する計画を発表しており、半導体分野へ注力中。
また、トヨタと共同出資で次世代の車載半導体を開発する会社ミライズテクノロジーズを設立しており、EVや自動運転のカギとなる車載半導体の研究開発に力を入れています。
ローム
ロームは、京都に本社を置く国内4位の半導体メーカーです。
主力製品の1つであるSiCパワー半導体は、燃費向上やEVの航続距離を伸ばす用途として期待されます。
直近では、SiC事業への投資がさらに加速しており、2027年に5100億円を投資して世界シェア1位を目指すとのことです。
村田製作所
村田製作所も、京都本社の電子部品メーカーです。
主力製品はチップ積層セラミックコンデンサ(MLCC)で、車載用で世界シェア1位を獲得しています。
直近ではフィンランド子会社で生産していた車載センサーの国内生産を始めるなど、主力だったスマホ向けから、自動運転向けの車載部品へ成長の柱を転換する方針です。
ソシオネクスト
ソシオネクストは、富士通とパナソニックの半導体事業が統合してできた半導体メーカーです。
自社で工場を持たず設計のみを行うファブレス企業で、5ナノや7ナノメートルといった最先端半導体の設計を手掛けています。
自動車やデータセンター、5G機器向けの半導体に注力しているのが特徴。
2022年10月の上場後、株価が急騰して注目されたので、ご存知の方も多いと思います。
リョーサン
リョーサンは、半導体製品を専門に扱うエレクトロニクス商社です。
半導体メーカーから製品を仕入れて、電子部品メーカーなどに販売するのが仕事で、ルネサスエレクトロニクスの車載半導体を主力に取り扱っています。
まとめ:車載半導体は将来性が高い!
以上、車載半導体の市場シェアと注目の関連銘柄を紹介しました。
何度も言っているように、車載向半導体は将来性が期待される分野です。
半導体メーカーは海外勢が強いですが、車載向けは日本企業もまだまだ存在感を発揮しています。
SiCやGaNといった次世代材料と合わせて注目の領域なので、ぜひチェックしておきましょう。