【3分でわかる】半導体の対中輸出規制と日本企業への影響

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【3分でわかる】半導体の対中輸出規制の内容と日本企業への影響

「半導体の対中規制について調べたけど、難しくてわかりづらい…」

「対中制裁の背景や、具体的な規制内容をわかりやすく教えてほしい」

「日本政府の対応や企業への影響も知りたい」

このような疑問にお答えします。

こんにちは。はくです。

2019年に大学院を卒業し、現在は半導体製造装置メーカーで機械設計エンジニアとして働いています。

本記事では、現役社員のぼくが半導体の対中輸出規制について解説します。

制裁に至った背景から、具体的な規制内容、日本政府の対応、企業への影響をわかりやすくまとめたので、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むとわかること

  • 対中輸出規制の背景がわかる
  • 具体的な規制内容と企業への影響がわかる
  • 今後の半導体産業の動きがわかる
目次

半導体の対中輸出規制の背景

はじめに、「対中輸出規制」とは、アメリカ政府が導入している中国への輸出を規制する措置のことです。

中国への技術流出を防ぎ、軍事・経済的な側面で、アメリカが中国に対して優位に立つための制度と言えます。

では、この対中規制に半導体がどのように関係するのか、5つのスライドでわかりやすく解説していきます。

背景①:半導体は「産業のコメ」

半導体の対中輸出規制の背景1

技術に詳しい人なら耳にしたことがあるかもしれませんが、半導体はよく「産業の米」と言われます。

これは半導体が、スマホやパソコン、自動車、産業機器など、あらゆる電子機器を製造するのに欠かせない製品だからです。

電子機器だけでなく、戦車や戦闘機、ミサイルなどの防衛装備品にも多くの半導体が使われています。

また、核兵器や超音速ミサイル、自律型ロボット兵器などの最新兵器には、先端半導体を使った技術が必要です。

したがって、経済面や安全保障の面で、半導体は非常に重要な物資なのです。

背景②:グローバルな半導体サプライチェーン

半導体の対中輸出規制の背景2

このような、地政学的に重要な半導体の製造工程は、設計・前工程・後工程に大きく分かれます。

たとえば回路設計は、ロジック半導体をIntel・AMD・Apple・NVIDIAなどのアメリカ勢が、メモリ半導体をSamsung・SK Hynixなどの韓国勢が高シェアを獲得しています。

製造装置は、アメリカ、オランダ、日本勢が強いです。

また、半導体材料や製造装置に使われる部品は、日本企業が存在感を示しています。

さらに、半導体の生産能力は、最先端分野をTSMCがある台湾がほぼ独占。

先端半導体以外でも、台湾、韓国などの東アジア諸国が強いです。

このように、半導体製造には多くの国・地域が関わっており、そのサプライチェーンはグローバルに広がっています

したがって、災害や戦争などで一部の製造に支障が出るだけでも、その影響は半導体産業全体に広がってしまうのです。

半導体の対中輸出規制の内容

このような背景から、アメリカだけでなくヨーロッパや日本、韓国、中国など世界各国が半導体の確保に向けて動いています。

そこでアメリカは、中国の半導体産業の台頭を阻止し、自国の半導体産業を強化する目的から、半導体の対中輸出規制を実施してきました。

2022年10月以前の制裁

半導体の対中輸出規制1

アメリカの対中輸出規制は、2022年10月以前と以後で大きく分かれます。

2022年10月以前の規制内容は、ざっくり上記のとおり。

これによって、中国半導体メーカーが最先端半導体を生産することができなくなりましたが、一方で規制が限定的という問題点もありました。

そこで、2022年10月に実施されたのが対象品目を大幅に追加した、第二の対中規制です。

2022年10月以降の制裁

半導体の対中輸出規制2

こちらでは、これまで対象でなかった先端技術に関連する半導体製品や、中国の新興技術・半導体メーカーも規制の対象となりました。

また、アメリカ人が中国における先端半導体の開発・製造などに関わることも禁止され、中国の半導体産業の成長を完全に阻止しようとしているのが特徴です。

これを受けて、製造装置メーカー最大手のアプライドマテリアルなど、アメリカの半導体関連企業は対中売上が減少するといった影響を受けました。

さらに、アメリカ政府は、有力な製造装置メーカーを抱える日本とオランダにも足並みをそろえるよう求めました。

日本政府の対応と企業への影響

対中輸出規制に対する日本政府の対応と企業への影響

バイデン政権の要請を受けて、日本政府は2023年3月31日、高性能な半導体製造装置23品目を対象とした輸出規制案を発表しました。

対象となったのは、国内首位の製造装置メーカー東京エレクトロンが手掛けるエッチング装置や、ニコンが手掛ける露光装置などです。

この法案は、4月29日までパブリックコメントが募集され、7月に施行される予定とされています。

日本の製造装置メーカーや半導体材料メーカーにとって、中国企業は大口顧客の1つです。

したがって、この法案の影響は少なくなく、各企業は輸出規制となる品目のリストアップや、対象外の製品を開発して中国事業を継続するなどの対応が迫られることになります。

まとめ:半導体は地政学的に重要な物資

【3分でわかる】半導体の対中輸出規制の内容と日本企業への影響

以上、半導体の対中輸出規制の背景と各国企業への影響をまとめました。

これまで、半導体産業はアメリカ・日本・韓国・台湾・ヨーロッパ勢が有力でしたが、中国企業の台頭が進んでいます。

製造装置や材料メーカーが強い日本にとって、中国企業は重要な顧客なので、対中規制は無視できない項目。

今後も、新しい情報が発表されたら、Twitter(@nanamemo_net)やInstagram(@haku_kikai.to.handotai)で発信していく予定なので、ぜひフォローしてチェックしていただけると嬉しいです!

【3分でわかる】半導体の対中輸出規制の内容と日本企業への影響

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この記事を書いた人

半導体製造装置メーカーで機械設計をしてます。

●年齢:30歳・社会人6年目
●目標:半導体業界の魅力を伝えること

「半導体業界のリアルな働き方」をテーマに、本業で学んだ内容を発信しています。
ツイッター・インスタグラムも毎日投稿しているので、ぜひフォローお願いします。

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