「半導体メーカーってどんな会社がある?」
「各製品のシェアやランキングが知りたい」
「日本企業はオワコンなの?」
このような疑問にお答えします。
こんにちは。はくです。
2019年に大学院を卒業し、現在は半導体製造装置メーカーで機械設計エンジニアとして働いています。
本記事では、現役社員の僕が、半導体メーカーの一覧とシェア、各企業の特徴などをわかりやすく解説します。
半導体メーカーのランキングが知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を読むとわかること
- 主要半導体メーカーの一覧がわかる
- 半導体メーカーの世界シェアとランキングがわかる
- 日本の半導体メーカーの特徴がわかる
半導体メーカーの種類と特徴
半導体メーカーは、ずばり「半導体」そのものをつくる会社のこと。
代表的な企業は、アメリカのインテル、韓国のサムスン電子、台湾のTSMC、日本のキオクシア(旧東芝メモリ)などです。
半導体メーカーは、自社で工場を持たず設計のみを行うファブレス、ファブレスから半導体の製造を受託するファウンドリ、そして設計と製造を自社で一貫して行うIDM(Integrated Device Manufacturer:垂直統合型デバイスメーカー)の3つにわかれます。
また、一言で「半導体」と言っても、半導体の「種類」によってシェアがわかれます。
データを保存するメモリ半導体、計算をするロジック半導体、電力の制御・変換をするパワー半導体、光を電気信号に変換するイメージセンサー、、、など。
どの半導体をつくるかによって、シェアを獲得する企業が異なります。
種類 | 用途 | 製品例 | 主要メーカー |
---|---|---|---|
メモリ半導体 | データの保存 | USB、SDカード | サムスン電子、キオクシア、SKハイニックス、マイクロン |
ロジック半導体 | 演算処理、機器の制御 | CPU、GPU | インテル、TSMC、AMD、クアルコム、ブロードコム、NVIDIA |
パワー半導体 | 電力の制御・変換 | インバーター、コンバーター、 | インフィニオンテクノロジーズ、オン・セミコンダクター、三菱電機、富士電機 |
アナログ半導体 | 光や音などのアナログ信号をデジタル信号に変換 | テキサス・インスツルメンツ、アナログ・デバイセズ、 |
ちなみに、さきほど説明したファブレス・ファウンドリというのは、主にロジック半導体における区分です。
下記の参考記事によると、メモリは性能による差別化が難しいため、自社工場で大量生産することで価格を下げないと生き残れないとのこと。
一方のロジックは、最先端プロセスの投資規模が大きく自社でファブを持つのが非現実的。
ただし、メモリと違い小規模でも差別化ができるため、ファブレスとファウンドリによる分業化が一般的になったとのことです。
なるほど…。
— はく|半導体業界の企業解説 (@nanamemo_net) May 5, 2023
「半導体において、なぜロジック半導体はファブレスが主流、メモリ半導体は垂直統合が主流なのでしょうか?」https://t.co/HNXPVv567M
半導体メーカーの世界シェア
つづいて、半導体メーカーのシェアを紹介します。
2022年における半導体メーカーの売上高ランキングTop10は、下図のとおり。
順位 | 社名 | 売上高(億ドル) |
---|---|---|
1 | Samsung Electronics(韓) | 670.55 |
2 | Intel(米) | 608.1 |
3 | Qualcomm(米) | 367.22 |
4 | SK hynix(韓) | 341 |
5 | Broadcom(米) | 269.56 |
6 | Micron Technology(米) | 268.7 |
7 | AMD(米) | 237.77 |
8 | NVIDIA(米) | 210.49 |
9 | Texas Instruments(米) | 188.97 |
10 | MediaTek(台湾) | 185.24 |
アメリカ、韓国勢が強く、日本企業のトップは16位のルネサスエレクトロニクスです。
ちなみに、このランキングには、ファウンドリは含まれていません。
理由は、以下とのこと。
ファウンドリの売上額=ファブレスやIDM(設計と製造を手掛ける半導体メーカー)のコスト、となるため、ファウンドリを加えると半導体の市場規模が正確ではなくファウンドリの分をダブルカウントすることになる。
https://news.yahoo.co.jp/byline/tsudakenji/20221120-00324760
1位:サムスン電子(韓)
韓国の巨大企業「サムスングループ」の中核を担う半導体メーカーで、メモリ半導体に強いIDM企業です。
DRAM・NAND型フラッシュメモリ・SSDで世界シェア1位を誇ります。
2位:インテル(米)
ロジック半導体に強いIDM企業です。
パソコンのCPUでおなじみで、世界シェア60%を誇ります。
2022年はサムスンに首位を奪われたものの、長年半導体メーカーのトップに君臨してきた老舗企業です。
3位:クアルコム(米)
ファブレス企業で売上世界1位のアメリカの半導体メーカーです。
通信機器やスマホ向けのロジック半導体に強いのが特徴。
ファブレスなので、半導体の製造はファウンドリのGLOBALFOUNDRIESやTSMCへ委託しています。
4位:SKハイニックス
サムスン電子に次ぐ韓国2位の半導体メーカーです。
主力製品はメモリ半導体で、DRAMで世界シェア2位、NAND型フラッシュメモリで世界シェア3位を獲得しています。
5位:ブロードコム(米)
ロジック半導体を設計するアメリカのファブレス企業です。
無線(ワイヤレス、ブロードバンド)および通信インフラ向けの半導体が主力。
任天堂のゲーム機Wiiに、無線LAN技術を提供した実績もあります。
光回線やケーブルテレビなど、大容量の通信ができるインターネットサービスの総称。
6位:マイクロンテクノロジー(米)
メモリ半導体に強いアメリカのIDM企業です。
主力製品はDRAMでサムスン、SKハイニックスに次ぐ世界シェア3位。
海外企業では珍しく、日本の広島県にも工場があり生産を行っています。
7位:AMD(米)
ロジック半導体に強いアメリカのファブレス企業です。
パソコンの「CPU」に加えて、モニターに映像を映し出すためのグラフィックス処理を行う「GPU」も開発しています。
8位:NVIDIA(米)
GPUの設計・開発を得意とするアメリカのファブレス企業です。
高性能なGPUがゲーム用のハイエンドPCでシェアを獲得しているほか、近年はAIや自動運転などの技術にも活用されています。
9位:テキサス・インスツルメンツ(米)
アナログ半導体で世界シェア1位を誇るIDM企業です。
産業用から車載、家電、通信機器、エンタメ機器まで、幅広い製品を手掛けます。
光や音、温度、圧力などの「連続的な」電気信号(アナログ信号)を処理・制御するための半導体。
センサーで取り込んだ光や熱などのアナログ信号をデジタル信号に変換したりする。
10位:MediaTek(台湾)
ロジック半導体を設計する台湾のファブレス企業。
スマホやパソコン、Wi-Fi、スマートTV向けなど、幅広い分野の半導体設計を手掛けます。
日本の半導体メーカーはオワコン?
ここまで説明してきたとおり、2022年現在で日本の半導体メーカーはTop10に1社もランクインしていません。
ただし、ランキングを20位まで広げてみると、日本企業が3社ランクインしており、製品別ではシェア上位を獲得しています。
16位:ルネサスエレクトロニクス
ルネサスエレクトロニクスは、車載半導体に強い国内1位の半導体メーカーです。
三菱電機・日立製作所・NECの半導体部門が統合して設立されました。
日本の半導体メーカーは、長年キオクシアが国内1位でしたが、メモリの需要減少と車載向けの需要拡大によって、2022年にルネサスが国内首位に躍り出ています。
製品別で見ると、車載用マイコンで世界シェア1位を獲得しており、売上高が前年比15.5%増と2022年も成長していることがわかります。
自動車に搭載されるマイコンのこと。
エンジンやブレーキ、エアコン、カーナビなどの制御を行う。
17位:キオクシア
キオクシアは、メモリ半導体に強いIDM企業です。
東芝の稼ぎ頭だった半導体メモリ事業が売却され、「東芝メモリ」から「キオクシア」に社名変更されました。
キオクシアは世界で初めてNAND型フラッシュメモリを開発した会社で、世界シェアでサムスンに次ぐ2位を獲得しています。
18位:ソニー
ソニーと言うと家電やゲーム機の印象が強いですが、実は半導体でもトップクラスのシェアを誇る半導体メーカー。
具体的には、光を電気信号に変換するイメージセンサーで、スマホのカメラなどに使われています。
半導体事業を手掛けるのは、グループ会社のソニーセミコンダクターソリューションズで、CMOSイメージセンサーで世界シェア1位。
また、TSMCが進出する熊本県にも工場があり、今後の動向も注目されます。
その他の半導体メーカー
以上、3社の国内半導体メーカーを紹介しましたが、他にも知りたい方は当サイトの検索ページから企業を調べることができます。
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